MaximのMAX662A(5V⇒12VチャージポンプDC-DCコンバータ)で負電圧(-12V出力)を得る

Maximから出ているICで、MAX662Aという5V単電源から12Vを得るDC-DCコンバータがあります。このICはチャージポンプ方式なのでインダクタが不要で、外付けするのは小型・小容量のコンデンサ4個のみと手軽に使えるのが利点です。もう1つ、秋月で購入できるというのも大きな利点です。

このICを使って最小限の外付け部品で標準の12Vよりも若干高い電圧を得る方法を書きましたが、今度は負電圧を得る方法です。

※注:この方法は秋月カラーグラフィックLCDモジュール(LTA042B010F)のバイアス電圧を作成するために考案しました。このLCDモジュールには±12V前後のバイアス電圧が必要です。MAX662Aを普通に使うと12Vは簡単に取り出せるのですが、-12Vを得るには外付けの回路で一工夫する必要があります。その外付け回路を最小化したいというのが考案の動機です。(参考:秋月カラーグラフィックLCDモジュールの解析


原理

MAX662Aのブロックダイアグラムを見ると、チャージポンプ用キャパシタの両端電圧はクロックに同期して変化することが分かります。(MAX662Aデータシートから抜粋)


チャージポンプ用キャパシタの両端電圧(GNDに対する電位、無負荷時)

ピンS1導通時の電圧S2導通時の電圧1クロックサイクル内の電圧変化
C2+5V15V10V
C2-0V10V10V
C1+5V10V5V
C1-0V5V5V

この電圧変化をキャパシタを通して取り出しチャージポンプを外付けすれば、負電圧を得ることができます。


回路

基本の回路(-3倍圧回路、-4倍圧回路)はこんな感じになります。

-3倍圧回路:C1-の電圧変化(電源電圧相当)とC2-の電圧変化(電源電圧×2相当)を加えた電圧がOUTPUT-に負電圧出力されます。


-4倍圧回路:C2-の電圧変化(電源電圧×2相当)の2倍の電圧がOUTPUT-に負電圧出力されます。


実際の出力電圧はOUTPUT+とOUTPUT-に取り出す電流と、使用するダイオードの順方向電圧VFによって変化します。

OUTPUT+やOUTPUT-に取り出す電流が増えるとC1-, C2-の電圧が降下するため、出力電圧が下がります。またダイオードが4個直列になっているため、VF×4だけ出力電圧が下がります。ショットキーダイオードを使用する場合、VFだけでおよそ1Vの電圧降下が発生することになります。

この回路によるOUTPUT-の出力電圧は安定化されていないので、安定化が必要な場合は別途安定化回路が必要になります。



7/30/2007 作成


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